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0.5x Distance

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Apr 22, 2026
4:04

触れないことで、永遠になれると信じていた。 この半分の距離が、僕らを守っていた。 ------------------------------ バス停のベンチ 君の体温が右側にだけ張り付いている 肩が触れそうなこの数センチが 今は 越えられない国境線みたいだ 街路樹を抜ける風の音が 僕らの沈黙を余計に深くする 「ねぇ」と呼びかけた声が 密度を増した空気の中で 君に届く前に 足元へ落ちていった 近くて遠い 0.5倍の距離 指先を伸ばせば 君のシャツの袖に触れるのに 心は はるか遠くの銀河を彷徨っている この手を伸ばす勇気がないから 僕は ただの隣人を演じているんだ ショーウィンドウに映った 僕らの不自然な均衡 ガラス一枚隔てた向こう側に 本当の君がいる気がした 笑い合う街のノイズが 僕と君の間だけ 嘘みたいに途切れている 言葉にすれば この脆い均衡が 音を立てて崩れてしまう だから僕らは 今日もこうして 「他人」の顔をして 横に並んでいる 遠くて近い 0.5倍の親密さ 連絡先の向こう 文字だけの君はあんなに饒舌なのに 目の前の君は 何よりも理解できない空白だ 瞳の奥 僕の知らない誰かを 探している横顔を ただ見つめていた ……ねぇ 本当は この「半分」の距離が 僕らを守っていたんだね 近づきすぎて 壊れてしまうくらいなら このまま 透明な壁越しに 笑い合っていたいなんて 卑怯かな 僕らが選んだ 0.5倍の逃避行 触れないことで 永遠になれると信じたかったんだ 君が少しだけ 遠くに感じるこの夜を 愛していると言えば 君は笑うだろうか 届かない距離のままで 君の幸せを 呪うように願っている

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