パリの霧の中で真実を追う探偵には、
長いあいだ名前さえ語られなかった母がいた。
彼女はかつて、きらめくものを追いかけていた女だった。
お金では買えず、
手では掴めず、
近づけば近づくほど遠ざかっていく光。
その光を追ううちに、彼女は少しずつ壊れていった。
そして、壊れていく自分の姿を
娘と夫には見せたくなかった。
いや、本当はもっと怖かったのかもしれない。
それでも彼らが、
最後まで自分を愛してくれるかもしれないということが。
だから、彼女は姿を消した。
残された娘は、真実を追う探偵になり、
去っていった母は、仮面をかぶる女になった。
ノクターン。
パリの劇場で、彼女は悪女のように微笑む。
犯してもいない罪を背負い、
誰かの秘密をカーテンの裏に隠しながら。
この曲は、ノクターンの二つ目の物語。
家族から遠ざかった女が、
自分の罪悪感を舞台の上の役に変えて
生きていくための歌。
娘はいつか、彼女を追ってくるだろう。
黒猫とともに、
仮面の下に隠された真実を暴くために。
けれど、ノクターンは知っている。
真実が、いつも人を救うとは限らないということを。