歌詞
首筋をなでる 冷たい砂の音
秒針の檻に 閉じ込めた呼吸
一秒の狂いも 許されぬ街で
僕は 生きる実感もなく 忙しく生きていた
あの日 床に叩きつけたガラスの家宝
溢れ出した砂は ただの無機質な石の粒
背後に捨てた 精密な支配
僕は 僕の時間を 奪い返した
湖のほとり 鳥の声で開く瞼
耕した土の匂いと 焚き火の爆ぜる音
誰にも急かされぬ 凪のような幸福
満たされていた このまま終わってもいいほどに
けれど 静水に映る男の瞳は
疑問を抱いていた 安住という名の 澱(よどみ)に
「これでいいのか」 鏡の中の問い
幸福は いつしか僕を縛る 新たな鎖になった
嵐へ向かう 鷲の翼が視界を灼く
安全な森を捨て 上昇を選ぶ孤独な影
僕は 穏やかな眠りを自ら切り裂き
「さらなる高み」という 険しい闇へ手を伸ばす
かつては 生かされるために時を数えた
今は 己を磨くために 規律を課す
正解のない暗闇を 血の滲む指で手探りし
昨日積み上げた自分を 今日 自ら崩していく
「これでいいのか」 答えはまだ風の中
確かなものは 無知に打ちのめされる痛みだけ
戻れば楽だと 夜ごとに誘惑が囁くけれど
僕は 完成された安らぎよりも 未完の苦しみを選ぶ
明けることのない夜の その先を見据えて
僕は今日も 震える足で 一歩を刻み続ける